研究概要 |
計算機科学や情報通信をはじめとする情報科学において,多くの問題は組合せ最適化問題として定式化される.このため,組合せ最適化問題の近似解を高速に求める方法の研究は,応用も幅広くこれらの分野におけるひとつの大きな柱となっている.特に,反復アルゴリズムが注目されており様々な最適化問題を解くための反復アルゴリズムが設計されている.MAX-3-XORSATの硬判定メッセージ交換アルゴリズムの解析の準備として,まず数理的に類似した構造を持っている圧縮センシングのL1再構成を近似的に行う反復アルゴリズムの解析を行った.従来の解析手法では,理論的な解析が簡単になる特殊な場合を除き,このような圧縮センシングの反復法に基づく再構成アルゴリズムの性質は明らかにできなかったが,経路積分法を用いることによって,その性質について理論的な検討が可能となった.また,誤り訂正符号や電子透かしも,排他的論理和充足可能性問題と類似した構造を持っている.線形符号の見逃し誤り確率や,LDGM符号の重み分布を解析的に評価したほか,電子透かしの結託攻撃への耐性なども解析的に評価した. これらの知見を基に,研究課題であるMAX-3-XORSATの硬判定アルゴリズムと等価な,疎結合3体Isingモデルの経路積分による解析を行った.ダイナミクスの解析は既に完了しており,成果を発表準備中である.現在,定常状態解析なども行っている.その他,より一般化された問題であるMAX-p-XORSATの硬判定アルゴリズムへの拡張が可能であると考えられる知見を得た.
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今後の研究の推進方策 |
前述のように,MAX-3-XORSATの硬判定アルゴリズムと等価な,疎結合3体Isingモデルの経路積分による解析を行いダイナミクスの解析は既に完了した.引き続き,定常状態の解析や,一般化された問題であるMAX-p-XORSATのアルゴリズムについての解析について検討する.
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