研究概要 |
[A]H22年度の研究計画 課題1:多様な個々のセキュリティ・ポリシーを総合して安全を証明するシステムの構造を研究する. 課題2:マルチエージェントが情報流制御するための制約とは何か,を解決する概念的枠組みを研究する. [B]H22年度成果 ■H22年度は問題を絞り新しい発想の認証システムを研究した.そのビジョンは人々の群れによって個人を区別することである.哲学的考察から「1つのセキュリティモデルによって社会システム全体を記述する方向性を取るべきでないこと」が裏付けられた,即ち,課題1,2は統合的に解決されなければならない.そこで,複数の意味論が相互作用し全体が制御されるシステムを研究した.世界の記述が多様であることを認めるシステムということである. ■課題1,2を満たす必要条件として「群知能」に着目した.そして,公私の価値循環という概念を提案し,それによって動機づけされる「創発」と「制約」の規則をアクセス行列に反映させる概念的枠組みを完成させた.即ち,(1)各工-ジェントは独立した意味論を持つ.(2)マルチエージェント全体は評価関数を持たない.(3)エージェントは群れ単位の暫定的な目標を持ち,群れ全体の秩序が調和するように相互作用する.(4)このような群知能の制御はメタヒューリスティクスによる.即ち,特定の評価関数によってシステムを評価するのではなく,メタヒューリスティクスでシステムを制御する「パラメータ」をシミュレーションによって求め,その結果を実装に反映させる.(5)群れが目標と定める「制約の規則」によって,群れからの情報漏洩と改竄を制御する. ■群知能が相互作用するパラメータとは何かを研究するために,色彩の混色のアナロジーモデルにも挑戦した.マルチエジェント・シミュレータ(Altisoc,Mason)を取り上げBoidに競争の原理を取り入れる実験の第一歩を試みた.
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