研究概要 |
本研究は,従来数値データとして定量的に扱われていた図形や画像などの空間データおよびその時間的な変化を,記号表現により定性的に扱う新しいモデルを提案し,そのモデルに基づいた高速で高度な推論力を持つソフトウェアの実現を目指すものであり,本年度は主に以下の研究を行った. 1. 矩形推論システム 矩形推論の枠組みの拡張を行った.前年度作成した矩形推論システムの対象とするパターンの制約条件を緩和した,さらに,表示部分を明示した定性的矩形の集合に対して,それらの表示要求を満たすような配置を導出するアルゴリズムを構築し,矩形推論システムとしてPrologおよびJAVA言語で実装した,また,本システムと他の定性空間推論システムを比較し,表現力の相違,互いの表現の変換,両者の統合方法についても検討した. 2. 定性時空間シミュレーションシステム 定性的に表現された単体または複数のオブジェクトの空間データに対して,オブジェクト間の空間的制約条件や動作の連続性をもとに,これらの時間的な変化を予測し定性シミュレーションを行うシステム作成のため,特性を含めたオブジェクトの表現方法について考察した. 3. 定性空間表現によって記述された表現の列に対する推論方法 定性空間表現によって記述された2つの状態表現を与えたとき,それらの間で行われた操作や変化の規則を推論する,時相論理に基づく手法について検討した.
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