研究概要 |
本研究課題では,情報幾何的データ解析手法を用いて協調フィルタリングを行う手法の構築を行う研究を進めでいる.その際,近年重要となるプライバシー保護の観点を導入し,プライバシー情報に配慮した結果出力を行おうとする点が特色である.本年度の成果の概略を以下にまとめる.情報幾何的データ解析については,ベイズ的な定式化及び変分ベイズ法に基づく効率的アルゴリズムについて発表し,ドイツ分類学会から表彰を受けた.また,それらの手法および混合分布への拡張などの成果をまとめて学術誌に発表した.しかしながら,現在の枠組みではデータ解析結果のロバスト性やプライバシー保護といった点で問題があるため,それらの点について研究を進めた.まず,ロバスト性については,情報空間の計量に基づいたロバスト回帰分析手法について考察を行い,単純な線形回帰の場合にその性質を調べ,得られる回帰超平面が必ず次元数と同じだけのサンプル点を含むことを証明した.現在その非線形化および探索アルゴリスムの効率化を行っている.またそれらの定式化において,最適化問題が多峰性をもつため最適解を求めることが難しくなることがわかったが,最適化の分野で多項式目的関数の最適化を行う枠組みを併用することによって数値実験を行った結果,多項式時間で大域的最適化が可能であるとの予想を立て,現在証明に向けて取り組んでいる. 一方,協調フィルタリングについては順序統計量の回帰に基づく効率的な協調フィルタリングアルゴリズムを開発し,国際会議で発表を行った.現在.プライバシー保護を導入した協調フィルタリングアルゴリズムについて枠組みを構築中である.
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