研究概要 |
本研究は動画像の解析のため,移動物体の各部の詳細な動きが分かるようなトラッキング手法の確立を目指している.目的を達成可能なアルゴリズム「ブロック間の排他的割当に基づく移動物体追跡手法」について,平成22年度は以下のように研究を進めた. 1.RGB制約と形状制約に基づく2つの割当問題の解法 (1)カメラ入力から導かれるRGB制約と,物体の形状に基づくtop-down的な形状制約の両方を満たすブロック間の最適対応を求めるため,HSVヒストグラムに基づく割当問題と,前フレームからの形状の変化を最小化する割当問題の2つを繰返し解く方法を提案した.(論文1,学会発表1) (2)さらに頑健な解析を目指し,背景とオブジェクトの区別も考慮して最適割当を求める手法として,a)全てのコストの加重和を用いる解法,b)線形計画問題から最適解を求める方法,の2つが実現可能であることを示した. 2.高速処理ハードウェアの実現方法 ブロック間の排他的割当に基づく移動物体追跡手法は多くの計算量を要するが,規則的な構造のためハードウェアでの高速化に適している.また,単純な計算の組合せのみで高速処理が実現可能と予測される. (1)各ブロックを8×8ピクセルの固定形状とするとき,HSVヒストグラムおよびHOG特徴量を用いた,ハード化に適したブロック間類似度計算手法を明らかにした.(学会発表2) (2)形状が急激に変化しない仮定があればコスト最小化の制約は緩和しても良いことを示し,saving-regfet近似とコストの絶対値を組合せて,単独手法より適切な解を得る方法を提案した.(学会発表3) (3)ハードウェア構成法として,類似度計算の専用回路とプロセッサ型の制御回路を用いた構成法を考案し,FPGA上で小規模な部分回路の動作を確認した.
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