平成24年度では、我々は観測データに基づいて、本グループが開発した生理学的発話機構モデルをを用いて幼児の発音学習過程を模擬するため、新しい制御方法を開発した。まず、従来数個離散点の代わり、舌と下額の輪郭を用いる制御法の開発を試みた。筋活動の組み合わせにより調音運動を生成し、主成分分析により調音空間を構築して、調音目標から運動指令空間への投影関係を創立した。発話制御には、フィードフォーワード制御が主に熟練な発話の制御方式とされるが、フィードバック方式は調音目標から運動指令空間へのフィードフォーワードマッピングの学習には役を果たしている。本研究では、フィードバックとフィードフォーワードと取り入れ、新しい制御を構築して、モデルを用いて検証した。 我々は、短期多感官記憶が多感官情報による認知整合への影響を研究するため、元に生態的に関連のない音声と画像を試料として、被験者にその関連を学習させた上、多感官の意味プライミング実験を行った。その結果、プライミング画像及び目標音声は多感官の記憶と一致したとき、被験者の応答時間が短く、しかも100-160ms gamma波領域での活動は不一致である場合より著しく増強された。不一致である場合では、N400の効果を引き起こす。N400 の変化は、音声からマルティモダリティの意味ネットワークへの射影過程には意味ネットワークが短期多感官記憶の影響を受けられることを示唆していると思われる。gamma波領域活動の増幅は、音声と画像による刺激とワ-キングメモリーにある多感官記憶へのマッチング過程を反映している。N400とgamma波の源を限定した結果は,MTGが多感官情報の意味マッチングにより促進された。本研究結果は、短期多感官記憶による多感官の情報間の関連と長期記憶は多感官意味プライミングの変調には特に差はなかった。
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