研究概要 |
本研究の目的は,各時点での要約情報を連続的なメディアに自動付与する手法を明らかにする。継時的な要約提示とは,メディアコンテントに対して,再生時点の話題や内容を短時間に把握できる部分的な要約情報を,時間とともにゆるやかに変化させて自動的に提示することである。ニュース映像では,国際,経済,スポーツなどの様々な内容の説明が一定時間続き,複数の話題の境界も,比較的明確である。一方,解説や講義などでは,全体の内容は特定の領域に関するものであって,内容の変化は小さくまた連続的であり,そうした話題変化の処理が解決すべき課題である。 平成23年度は,音声認識結果の利用方法と継時的提示手法の汎用性を検討した。 音声認識については,提示するキーワードと言語表現の選択に力点を置いて検討した。トピック境界推定において,実際の話題の変化より早い変化を誤って推定する誤りに対し,音声区間検出などで用いられるハングオーバー処理とトピック混合比の平滑化の2つの方法を検討した。その結果,短い区間のわきだしを抑制し,推定された境界の再現率を向上させることができたが,精度向上にはさらなる検討が必要であった。 提示するキーワード候補については,領域の違いや話題展開形式が異なる新聞記事,講演,ニュース解説を対象としてトピック言語モデルとの関連について検討した。とくにトピック混合比による境界推定結果を用いて,対象とするテキストからキーワード候補を選定する方法を検討した。潜在トピック数を変化させることで,適切な候補が得られる見込みが得られたが,対象とする区間が一般的な用語を多く含むような場合への対応が必要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音声認識結果の利用方法と継時的提示手法の汎用性について,新たな知見が得られている。研究成果を,国際会議,国内の学会で発表しており,おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,最終年度として,話題語の継時的提示に関する様々な研究成果を,提示システムとしてまとめて,認知心理学的な実験を行う。とくに話題境界とキーワード候補の推定と,システム利用者の認知的な負担との関連性に留意して,その有効性を評価する。また内容の変化が小さく,連続的なコンテントにおいて,複数トピックが同時に推移するモデルを利用した話題境界とキーワード候補の推定方法を検討する。
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