研究課題
本年度は、主として(1)オブジェクト指向的対話記述言語の仕様検討、および(2)データ駆動方式による対話システム開発プロセスの実現に取り組んだ。(1)に関しては、独自拡張を行うことによる記述言語の複雑化・一般性の喪失という問題に対処する手段として、近年ツール等の整備が進んでいるセマンティックWeb技術を音声対話システムの開発プロセスに組み込む手法を提案した。セマンティックWebのオントロジー記述言語であるOWLを用いて一般的な対話を進めるための概念およびそのインスタンスを求める規則を記述することができ、ドメイン依存の概念・インスタンスに関しても、同じくOWLによって独立に記述することができる。前者の対話一般概念と、後者のドメイン依存概念は、簡単な集合の対応関係記述で結合することができる。このことによって、既存知識の再利用性が高い音声対話システムの開発方法論を提案することができた。また(2)に関しては、Webアプリケーション開発で注目を集めているRailsフレームワークを、音声を中心としたマルチモーダル対話システムの開発に適用できるように拡張を行った。Railsフレームワークはスクリプト言語によるデータモデル定義から、データの登録や検索を行うインタラクションを自動的に生成するものである。このマルチモーダル対話システム開発環境にユーザモデル要素を組み込むことによって、従来の機能中心設計ではなく、アプリケーションで扱うデータモデルおよびアプリケーションを利用するユーザの特性を中心に対話システムの設計が行えるようになった。
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ヒューマンインタフェース学会誌
巻: 12 ページ: 51-54
Spoken Dialogue Systems Technology and Design, Springer
ページ: 144-149