研究課題/領域番号 |
22500153
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
荒木 雅弘 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50252490)
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キーワード | ソフトウェア学 / 音声対話 / オブジェクト指向 |
研究概要 |
音声対話システムは様々な要素技術が絡み合った複雑なシステムであり、その効率的な開発・保守には近年のソフトウェア工学の知見を活用した開発方法論が必要である。本研究では、音声対話システムの開発に適したオブジェクト指向的開発プロセスを確立することを目指している。 本年度は、主としてデータモデルからの音声対話システム構成要素の自動生成に取り組んだ。全体的な開発フレームワークとしては、近年のWebアプリケーション開発でその有効性が広く認められているRailsフレームワークに基づき、アプリケーションを動作させるMVC (Model-View-Controller)モデルの構成要素を、データ定義記述から自動生成することができた。View記述として、音声認識・合成に対応した最新のHTML5を採用したことで、生成されたコードを様々なプラットフォームで動作させることが可能となった。Controllerに関しては、データ定義記述中にannotation(注釈)を付加することで、典型的なタスクや対話主導権の設定を可能にした。Modelに関しては、セマンティックWebの共通オントロジーであるschema.orgのクラスを継承することで、モデル記述負担の低減とカスタマイズ性を両立させることができた。 これらのデータモデリングを中心とする開発手法によって、言語依存情報を完全に分離することができ、その結果として多言語をサポートする音声対話システムを容易に実装することができることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
データモデルの継承を基本的なアイディアとした音声対話システム開発用言語の設計および処理系の実装に関しては、基本的な部分は終了している。また、当初は研究範囲に含めていなかった多言語への対応も可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
現在の設計では、典型的なタスクに対応する対話の流れや対話の主導権制御はアノテーションによって、データモデルに付加するという手法を採用している。この事前に準備された対話制御情報をカスタマイズしたい場合、現在では直接これらのテンプレートを編集する必要がある。今後は、これらの対話制御情報もオブジェクト指向的に扱うことで、差分のみを記述するだけでカスタマイズができるような枠組みを考案する。
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