研究は,主にアルゴリズム開発とソフトウェアによって方法論を検証するグループ(山口大学:末竹,内野)と,主にハードウェア設計・開発を行うグループ(東京農工大学,現在,九州工業大学:田向,山口大学:末竹)の2グループ体制で行っている.グループ間/内で,3か月に一回程度の打ち合わせを行い,進捗状況の確認を行った.平成24年度は,前年度の研究成果をより発展させる形で,リアルタイム処理実現,並びにハードウェア化を容易にするために,アルゴリズムを極力を簡素化することに注力した.また,同時に,デジタルカメラで習得した映像を,一般的な色覚特性を有する人と,1・2色型色覚特性を有する人の双方にとって色弁別が容易で,極力違和感のない映像に変革するハードウェアシステムの確立を目指した.具体的には,九州工業大学の田向を中心に,Field Programmable Gate Array (FPGA)を用いた映像の色覚バリアフリー化アルゴリズムのデジタルハードウェア設計・実装を試みた.設計では,乗算器・除算器なしのルックアップテーブル(LUT)を基本としたアーキテクチャを採用することとし,処理の高速化を図った.最終的には,期間内にFPGAでの実装が完全に終わるまでには至らなかった.完成後はディジタルディスプレイ等の表示装置へと適用し,映像のリアルタイム変換処理が可能になると予想される.また,このシステムはアルゴリズムの性質上,特にWEBコンテンツやアニメーションといった人工画像に対して大きな効果が期待できると考えられる.
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