計画では暗部での画像強調法と確率的前景分離の手法で輪郭精度を上げることを狙った。先に提案した方式の性能を落とすことなく20%程度まで演算量を減らすことが目標であった。先に提案した方式で従来例の1/10000程度の演算量削減を実現したが、これを周波数領域モデルによる前景分離手法の特徴を活用して性能を落とさずに20%程度に減らすことを目標であった。周波数変換ブロックと前景ブロックの整合を取ることで平均4.8%、常時9.3%を実現し性能は落ちていない。演算量を0.5%に落とした輪郭抽出も試みたが、暗い部分での前景は取れたものの直交変換基底の性質を用いた輪郭抽出は良くなったものの、あまり芳しくない結果であった。 平成23年度の課題である影消去の演算量削減にも周波数領域の性質を用いて挑戦した。色空間を用いたものであるため、現状では前景分離部が3倍の演算量になっているものの、陰除去も周波数領域処理を行う部分は1/100程度にまで削減できた。色空間をHSVに切り替えることでよい結果を得ることができたが、最近フラットな背景の場合に問題があることを発見し、この課題は平成23年度に引き継ぐ。ロボットの目として活用し、屋外での歩行者認識を行わせるには、影が最大の問題であるためである。 この技術を完成させるためLSI化を目指したアプローチも推進した。FPGA開発ツールの整備の一環として、前述の画像強調を例にしてソフトウェア・ハードウェア協調設計手法を確立[4]させた。
|