研究概要 |
カプセル内視鏡画像で撮影された映像から,小腸内壁に存在する病変を見やすくするため,残留物,照明の影からなる領域画像を小腸内壁から分離することが必要である.そこでまず前処理として色分布の偏りを取り除くため,色ヒストグラムから色分布の分散が最大となる特徴量を大量データから求め,その特徴量を用いる.次に,小腸内壁と定義できる色特徴を教師データとして与え,自己組織化マップを利用した小腸内壁色のクラスタを自動生成し,残留物と照明の影領域を分離した. また,被験者の小腸画像は,色・皺の形状が被験者によって異なることが分かっている.個人特性情報と画像の概形を表現する情報は相関があり,主成分で全てを分析すると,個人特性情報が優位になり,病変の見え方による体系化は困難になる.そのような相関を有する特徴の分離に特異値分解が有効と考えられるため,全ての対象画像における特異値分解の第1特徴量を元画像から減算することで,被験者の個人特性情報を縮退する.特異値分解を行うとき,全ての情報を処理するにはデータ量が膨大になり,大量のメモリを消費するため,事前に3次元離散ウェーブレット変換によって映像データを圧縮しておく,結果として得られた画像は画像列毎で明度コントラストが均一になったが,有効性の確認のため,個人特性の縮退によって画像形状が類似した画像を他の画像列から検索可能なことを確認する必要がある.評価実験では,画像の類似性を,特徴量の類似度判定および検索結果の主観評価によって求め,形状の類似した画像は,複数の画像列から検索され,その結果は人間も似ていると判定することが確認できた.
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