研究概要 |
本年度はマルチロボットの画像認識による分散協調のための観測視点の共有化手法を開発し,移動物体のトラッキングを例に適用を行った.各ロボットが環境内の観測対象を共有しようとする場合,従来は誤認識を生じないように,マーカーを対象物に貼付するなどの措置が講じている.しかし,複数自律ロボットの協調すべき認識対象は動的に変化するため,従来手法は極めて限定的な用途に限られる.本研究では,各ロボットが自らの視点と観測対象物,およびその背景との関係の中で,色,形状などの複数特徴量から曖昧性の低い特徴量を自律的に評価・選択する手法を開発した.各ロボットの位置によって適切な特徴量は異なり,また移動体を追跡する場合,観測するロボット,移動する物体との相対位置関係によっても適切な特徴量は変化する.我々は,Ambiguityという曖昧性指標を定式化し,その指標の変動によって動的な特徴量選択を実現し,複数ロボット間の通信によって移動観測対象のロバストなトラッキングを実験的に検証した.また,ロボットが観測対象のどの範囲を自律的に認識し,関心領域(ROI)として定めるかについての一貫した方法論を定式化し,実験的にその有効性を確認した.ロボットは認識対象の特徴量だけでなく,ROIによって選択される他の環境物体との相対関係というコンテキスト情報を用いて,より高いレベルの不変項を他のロボットと共有化することができる可能性が示された
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