研究課題
自律分散ロボットでは,各ロボットの観測視点の違いにより,同一対象物の見え方が大きく異なるという問題が生じる.従来は,認識対象を固定する,あるいは人工マーカーなどの手段を用いることで,共有知覚に伴う問題を意図的に回避してきたものがほとんどである.本研究課題では,マルチロボットの分散協調トラッキングを例にして,人工マーカーに依存しない共有知覚の方法論を提案した.前年度までの研究では,認識対象について色や形という基本的な特徴量の有効性(曖昧度)を背景に見いだされる類似表象の認識確率という観点から評価し,ロボットが能動的に有効な表象選択を行う手法を提案した.そして,色や形といった認識対象自体に属する表象だけでなく,周辺物体との配置関係をコンテクストとした幾何的関係表象をリアルタイムで生成し,表象が環境変化によって揺らぐことがあっても不変な表象を足がかりにロバストな物体認識を維持できる階層的不変項モデルを提案した.これらは実機実験により有効性が確認された.一方,あるロボットにとって自分が認識しやすい表象は,それを共有化しようとする他のロボットにとって必ずしも認識しやすい表象とは限らない.前年度までに色や形などの基本的な表象の摺り合わせは実現していたが,幾何的関係表象に関する不変表象選択については実現できていなかった.そこで,本年度最終年度では,例え認識しようとする物体そのものの表象について共有知覚ができない状況においても,ロボット間で自律的に幾何的関係表象の共有化を図り,それを足がかりに共有認知対象の共有知覚を実現するためのアルゴリズムを開発し,実験的に有効性を確認することができた.今後は,ロボットの移動により能動的な視点選択を行い,ビジョンだけでなく音声情報などのマルチモーダルな認知共有を実現していく.その予備的な実験も成功している.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE Transactions on Systems Man and Cybernetics: Systems
巻: accepted ページ: NA
1083-4427
International Journal of Advancements in Computing Technology
巻: Vol.4, No.22 ページ: 300-311
Journal of Robotics and Mechatronics
巻: Vol.24, No.3 ページ: 531-539