研究概要 |
近年,スワームロボティクスと呼ばれる群ロボットの行動制御に関する研究が大きな注目を浴びるようになってきている.しかし,スワームロボティクス分野において頻繁に取り扱われる自己組織化原理に基づく行動制御方式では,「定点に集合する」「互いに離れる」などの非常に限定的な単純タスクしか達成が困難であるというのが現状である.本研究では,この状況を打破すべく,研究代表者が提案している構造進化型人工神経回路網MBEANNにベースとして可塑的群知能システムを構築するための新理論を開発し,従来法では不可能であった高難易度タスクを達成することに挑戦してSRの新段階を切り開くことを目的とする. 本研究で取り扱うベンチマークとして,スワームロボティクス分野で取り扱われる問題の中でも最も難しいタスクに分類される「協調荷運び問題」を取り上げる.このとき,各ロボットには自律的に機能分化する能力,すなわち,自らの可塑性に基づいて状況に応じた機能を生成しながら適宜自身に割り当てることを行うことが必要になる.この計画に基づき,第一年度は,主に次の3つに焦点を当てて研究を行った.(1)MBEAN拡張理論の構築:SRに必要なより大規模な人工神経回路網を効率よく進化的に獲得させる新しいエンコーディング手法を開発した.(2)実機SRシステムによる実験:自律移動ロボットの基本設計を行い,3台製作した.(3)物理シミュレータの構築:GPUを用いて基本的な進化ロボティクス環境を構築した.
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