ステレオビジョンに関しては、ステレオカメラとGPSセンサ、姿勢センサを搭載した無人ヘリコプタによる撮影飛行実験を行った。その結果、地上の目標物の3次元データを撮影データから作成出来たが、野外での撮影環境に対するカメラのセッティングなどが十分に行えておらず、撮影画像の質が悪く想定していた精度までは行くことが出来なかった。今後、カメラセッティングの最適化、自動化する機能を追加して行く必要がある。また、GPSと姿勢センサのセンサフュージョンにより、カメラの位置姿勢及びラージスケールステレオ法での基線長を計測しているが、3次元データの精度を上げる為にはセンサフュージョンのアルゴリズムを改良して更に位置姿勢測定の精度を上げて行く必要があることが分かった。 無人ヘリコプタの飛行制御に関しては、飛行制御の自律化を進めるとともに上空からの画像取得を容易かつ確実にする為に搭載カメラの画像をモニターしながら半自動的に遠隔制御を行うシステムを開発し、小型無人ヘリコプタにより飛行実験を行った。その結果、遠隔操縦システムを開発することは出来たが、非熟練者が操縦出来る程には操縦が容易にはならず、画像撮影には有効であることが確認出来た半面更なる制御性能の改良が必要なことが明らかになった。また、飛行中の機体の振動をセンサによって計測した結果、本研究の無人ヘリコプタは電動である為に、従来使用してきたエンジン機に比べ、振動が小さく、画像撮影への悪影響もないことも明らかになった。 全体としては、無人ヘリコプタを用いてラージスケールステレオ法で3次元データを取得する基本システムを開発したが、まだ改良の余地があるので、引き続き研究を進めて行きたい。
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