研究分担者 |
春日 正男 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (00280909)
佐藤 美恵 宇都宮大学, 工学研究科, 准教授 (00344903)
清水 裕子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (30143184)
佐々木 和也 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (60292570)
石川 智治 宇都宮大学, 工学研究科, 助教 (90343186)
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研究概要 |
平成22年度研究では,ドレープ有り画像を提示した方が,ドレープ無し画像提示に比べてブラインドタッチでの布地認識率が有意に高いことが明らかになった.また,ドレープの有無は画像の輝度ヒストグラムの歪度と関連し,それが認識率向上に寄与したと考えられた.そこでH23年度研究では,布地素材の色柄の有無や布地撮影時の照明条件などを変化させた場合の布地認識率の傾向と画像のヒストグラムの歪度との関連を調査した(実験1).またドレープと布地認識率との関係に注目し,ドレープ形成の複雑さやドレープ形状が見える窓サイズが布地認識率に及ぼす影響を調査した(実験2). その結果,以下の4つの点が明らかとなり,成果を発表した(雑誌論文1件,学会発表3件). 1)実験1の結果,ドレープ有り画像のドレープ無し画像に対する布地認識率は,布地素材の色柄の有無や布地撮影時の照明条件などを変化させた場合でも有意であることを明らかにした.すなわち,布地認識におけるドレープの重要性が明らかとなった. 2)一方,布地素材の色柄や布地撮影時の照明条件の相違は,布地認識率にあまり影響を与えないことが明らかになった. 3)また実験1に用いた布地画像を解析した結果,必ずしも画像の輝度ヒストグラムの歪度が布地認識率に関係しているとは限らないことが明らかになった.すなわち,実際に被写体を撮影したCGではない実写画像は,単純に歪度だけで物体の表面特性を表せないことが明らかとなった. 4)実験2の結果,ドレープ形状が見える窓サイズの大きさは布地認識率に影響を与えること,またドレープ形状の複雑さは,布地の種類などの条件によっては布地認識率に影響を与えること明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,布地認識率に対する1)布地素材の色柄の有無,2)布地撮影時の照明条件の変化,3)画像の輝度ヒストグラムの歪度との関係,4)ドレープ形成の複雑さ,5)ドレープ形状が見える窓サイズの各影響について調査することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
H22年度,H23年度研究で行ったブラインドタッチの実験では,布地を自由に触らせていたために,布地の表面特性と柔軟性や厚みという特性がどのように布地認識率に寄与しているかの区別ができなかった.今後は,1)固定ドレープの型を作成し,全ての布地を固定ドレープに貼付けた画像と自然なドレープの画像での布地認識率の比較,2)ブラインドタッチで使用する布地を板に貼付けて表面だけ触れる刺激群と,自由に触れる刺激群を準備し,布地の柔軟性情報の有無が布地認識にどのように影響するのかの検討,3)画像解析において,表面の肌理や光沢に起因すると考えられる周波数特性と布地認識率との関係の検討を実施したい.
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