大きな両眼網膜像差による奥行きの知覚における刺激の運動の効果について検討した.具体的には,①刺激の運動方向,②観察者の運動方向,③刺激の大きさ(空間周波数),④刺激の速度(時間周波数),⑤単眼性立体効果における運動,⑥静的な変位の効果について検討した. 実験結果から,①2つの点刺激を水平方向に逆位相で動かした場合に立体視の促進効果が得られること,②観察者が左右に動いた場合には効果が大きく,前後に動いた場合には効果が小さいこと,③0.3 c/deg付近で大きな効果が得られること,④4 Hz付近で大きな効果が得られること,⑤単眼性ではないこと,⑥静的な効果ではないこと,が明らかになった.
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