研究概要 |
主たる目的は,データの収集方法の開発と,あいまいなデータ処理である。この目的において,サーバ系およびモバイルツールを用いたデータ収集系の構築を行うことができた。まず,モバイル機器用のソフトを開発改善することができた。また,そのデータをインターネット経由でサーバに集約し,サーバ上でデータ処理を行うサーバ・クライアントシステムを構築できた。このシステムを用いることで,データ収集からデータ処理および傾向分析までを一連の作業で行うことができる。しかし,申請書にも記載したとおり,提供すべき商品開発に有用な感性情報の提示方法も重要である。データの分析結果を単に示しても改善の方向性を示唆することは難しい。感性パラメータ法は,非言語系の数値解析であるため,分析結果が言語表現ではない。また,得られる解析結果は明確な境界を持たない場合が予想され,結果の呈示にはなんらかの工夫が必要である。ある場合には,数値,言語への変換以外に,実体(色や香りそのもの)を含めて解析結果の呈示方法の開発をおこなう必要があるかもしれない。これら異なった要素を用いた提示方法が可能になるように,本年度は,数値以外の要素を用いた提示を可能とするために,曖昧的な要素間の結びつけを可能とする処理系についても検討した。具体的には,真-曖昧-偽の3状態からなる論理処理系を定義し,その論理演算によって要素のグループ分けおよび検索が可能になった。調査対象の要素以外への変換が可能になることで,調査対象の潜在的な共通点を見出すこともできるようになることが示唆された。
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