研究概要 |
本研究は,食嗜好と評価を行うセンサシステムの開発が非常に遅れていることを踏まえ,以下に示す研究内容の達成を目標とし、本年度はシステム開発とそのための基礎的データ解析実験を行った。 1.【目標】:味を呈する溶液に対して,複数の最先端センシングデバイスから溶液の物理化学的物性値を取得し,その後得られた物性値データから,食嗜好と評価に向けた味覚センシング技術の開発を検討すること。 2.【システム開発ならびに実験(味覚測定システムの構築と基本特性評価)】:微量の味や匂い物質を高感度で検知できる味覚測定システムの開発に向けて、食品のデータベースを活用して、ターゲットとなる多種類の物質から味覚センシングが可能か否かを検討した。その結果、多変量解析の一種である判別分析により牛肉や食塩を簡易に識別する可能性が得られた。次に測定システムの開発として、味および匂い物質を有する分子の供給系を構築することを念頭にして、開発準備を進めた。この供給系からはシステムへ味や匂い分子が送られる。システムは,計測しようとする味・匂い分子を認識する膜を有するSPRセンサ、新たに購入したQCMセンサおよびセンサの出力を解析するデスクトップパーソナルコンピュータからなる(平成22年度設備費により購入)。初年度は,現有の味覚センサシステムと組み合わせたセンサ系を用いて,基本的な実験を行った。最終的には,さまざまな種類の味・匂い分子に対して,高感度でかつ選択性を有するセンサシステム開発の第一段階が確立できた。
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