研究課題/領域番号 |
22500196
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
棟朝 雅晴 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (00281783)
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キーワード | 進化計算 / 大規模並列化 / メニーコア |
研究概要 |
本年度においては、進化計算アルゴリズムの改良を進めるとともに、大規模並列進化計算をメニーコアアーキテクチャとして現在主流となりつつあるGPGPU(Genelal-Purpose Graphic Processing Unit)上に実装することを中心とした研究を行い、多くの成果をあげることができた。 進化計算アルゴリズムの改良については、確率モデル構築による進化計算アルゴリズムであるBayesian Optimization Algorithm(BOA)において、その確率モデルにおいて、複数のBayesian Networkを混合した確率モデルへの拡張を行った手法、BOA-MD(BOA with Mixture Distribute)を開発し、その有効性を複雑な問題構造を有する最適化問題において検証した。さらに、確率モデル構築において、スキーマ上での曖昧性を考慮しつつ局所探索を融合させる手法についても検討をすすめ、BHCS(BOA with Hill-Climbing on Schemeta)と呼ばれる手法を開発し、その有効性をテスト関数において検証した。 GPGPU上での大規模並列進化計算の実装については、現実の設計問題で多く見られる、整数と実数が混在した複雑な最適化問題であるMINLP(Mixed Integer Non-Linear Programming)への適用に加えて、創薬に必要となる有望な薬剤構造を発見する探索問題である、De Novo Ligand Docking問題への適用などを行った。MINLPへの適用については、探索の精度を動的に制御する進化計算手法arGA(adaptive resolution Genetic Algorithmを開発し、そのGPGPU向けの実装を行うことで、MINLPのベンチマーク問題において、CPUの数倍からり数十倍の高速化を実現することができた。De Novo Ligand Docking問題においても同様の高速化を実現するとともに、肝臓疾患に有望となる薬剤構造の候補を自動的に生成することができ、有望な薬剤構造のデータベースであるZINCデータベースに正式登録された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては、アルゴリズムの聞発においては、BOA-MDやBHCSをはじめとする複雑な問題構造に対応する手法の開発に成功するとともに、GPGPU上での大規模並列進化計算の実装においても成果を挙げ、MINLPなど現実の設計問題で多く見られる複雑かつ大規模な問題へ適用するとともに、自動的な薬剤構造の探索という有用性の高い分野での成果もあげることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては、アルゴリズムのさらなる改良を図るとともに、その有効性を代表的なテスト関数、ベンチマーク問題において検証を行う。アルゴリズムの改良については、これまで研究代表者らにより開発が行われてきたリンケージ同定の考え方を導入した手法への展開を予定している。大規模並列化およびその実装に関しては、MapReduceなど近年クラウド環境において有力となっている大規模並列化手法への展開を予定しており、そのために必要となるアルゴリズムの条件や実装方針について検討をすすめている。
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