研究課題
本年度においては、昨年度に引き続き進化計算アルゴリズムの改良を進めるとともに、大規模並列進化計算のGPU上での実装をさらにすすめ、薬剤構造の探索を高速に行うシステムを実現した。アルゴリズムの改良としては、実数と整数が混在した困難な最適化問題である混合整数計画問題について実数値遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm, GA)と2進数による通常のGAを混在させたBinary-Real GA (BRGA)を提案するとともに、GPUにおける各スレッドで並列に有望な薬剤構造に関する局所探索を行う手法を提案することで、並列化の効率を向上させることができた。加えて、クラウドコンピューティング環境下における大規模並列実装についても検討進め、多数のバーチャルマシン、演算コアを利用できるInfrastructure as a Service (IaaS)環境を前提とした検討をすすめた。具体的にはクラウド環境におけるMapReduceによる大規模並列化について、進化計算を用いた代表的な機械学習アルゴリズムであるClassifier SystemのHadoopによる大規模並列実装を行い、不正侵入パターンを学習する侵入検知問題へ適用することで、大規模なデータを高速に学習するためのフレームワークを実現した。さらに、クラウドコンピューティングで近年注目を集めているPlatform as a Service (PaaS)環境における大規模並列実装についても検討を行い、代表的なPaaS環境であるCloudFoundry上において、多数のバーチャルマシンを用いたInteractive Evolutionary Computation (IEC)の大規模並列実行環境を実現し、多数のユーザからの入力に対応して自律的な進化を実現することのできるプロトタイプシステムを構築した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画では、進化計算のGPUにおける大規模並列実装が中心であったが、その部分についてはおおむね十分な成果をあげたため、クラウドコンピューティングの環境を前提として、理論上無限のバーチャルマシンや演算コアを利用できる場合を想定した検討をすすめており、その部分についても成果をあげている。クラウドコンピューティングに関する検討について、Hadoopによる大規模並列データ処理環境における成果に加えて、CloudFoundryによる先端的なPaaS環境への実装についても検討を進めることができており、当初の計画を上回る成果をあげつつある。
今後の計画としてはクラウドコンピューティング環境における大規模並列化を中心に研究を進める予定であり、特にHadoopなどの大規模並列データ処理環境におけるClassifier Systemなどの大規模並列機械学習フレームワークの実現について検証をさらにすすめるとともに、CloudFoundryなどのPaaS環境においてInteractive Evolutionary Computationを実装したプロトタイプシステムの構築をさらにすすめ、インタークラウド環境等の世界規模での超大規模並列実行環境を想定した、理論上無限に拡張可能となるスケーラブルな進化計算実行フレームワークの実現を目指すものである。
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