本年度においては、進化計算アルゴリズムの開発および改良に加えて、混合整数計画問題など大規模かつ複雑な最適化問題への適用、多目的資源割当最適化問題への適用、クラウドシステムにおけるMapReduce実装などを中心に研究をすすめた。 進化計算アルゴリズムに関する開発および改良については、整数と実数の変数が混在した場合を想定した進化計算アルゴリズムBRGR (Binary-Real Coded Genetic Algorithm)について、制約付き最適化問題への対応を行うための動的制約制御アルゴリズムの導入を行った。その探索性能について評価するため、CEC2010ベンチマーク問題での検証実験を行い、その有効性を確かめることができた。その応用として、クラウドコンピューティングにおける資源割当最適化問題への適用を行った。当該問題は、仮想化された計算資源をそのアプリケーションシステムの必要性に応じて物理資源上に最適配分する必要が有り、多数の仮想マシンについてその割当先となる物理マシンのIDや割当資源量など、数多くの整数および実数のパラメータが混在する混合整数計画問題として定式化される。そのような多数の整数、実数が混在した困難な最適化問題を解決する手段として、BRGAが有効であることを検証した。 さらに、クラウドコンピューティング環境における進化計算の大規模並列化として、Classifier SystemのHadoopによるMapReduce並列化やCloudFoundryによる汎用PaaS環境におけるinteractive GAの大規模並列化の実現に向けた研究を行った。Classifier Systemに関しては侵入検知システムにおける大規模なログデータからの学習を行うための大規模並列化、interactive GAについては多数の利用者が利用できるシステムを実現した。
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