研究概要 |
本年度は,まず高次統計量カーネルを画像分類や類似度評価に応用する際の基礎的な条件を,理論的考察と計算機実験から明らかにすることを試みた.特に高次統計量カーネルを画像の特徴化に用いる際の条件の明確化を目指し,高次統計量カーネルを計算機上で用いる際に,離散化や積分区間有限化等を行った場合,抽出される特徴量が理論的な(理想)値からどのように解離するかを,主に基礎的計算機実験により検証を進めた.また,カーネルのハイパーパラメータである次数や窓関数の形状が画像から抽出される特徴量にどのような影響を与えるかについても同様に検証を進めた.これらの成果については,平成23年度に学会などで発表する予定である.当初予定していた5次以上の(超)高次統計量のふるまいに関する計算機実験については,予定より実施が若干遅れており,現在検証を開始した段階である.これらの結果が出揃った後,離散化された高次統計量カーネルを計算機上で用いる際の基礎的な知見として関連する研究会及び国際学会に報告する.また,これらと並行して,導入した汎用画像演算器(GPGPU)を実装した画像処理用計算機における高次統計量カーネルを用いた信号からの特徴抽出法についても検討を加えた.当初平成23年度以降に予定していた高次統計量を特徴として用いる画像など信号の内容検索系であるが,類似度評価を行うエンジン部分が先に完成し,これをメディア情報の類似度評価に用いた成果を国際学会(ISDA)で発表した.また,関連する研究として,音声の類似性に基づく個人生体認証法の高度化に関する研究結果を国際学会(ICONIP)で報告した.
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