23年度は、以下に掲げる2つの内容について開発および実験、研究を行った。全体としてGPGPUによる多次元ファジィ集合の超並列計算による高速演算と精度の追求が主な作業であった。同時に多次元ファジィ集合をもちいた動的な行動および運動制御の実現法の追求により実応用へ向けた実験も行った。 1)高速演算と精度の追求 1-1)動的高速なロボットの行動制御に堪える速度および精度のGPGPU計算開発 1-2)安価にするための並列度および精度とその計算量と効率の探求。 1-3)複数の並列計算アルゴリズムの実装とその性能評価 2)多次元ファジィ集合にもとづく理解しやすい動的な行動表現の実現 2-1)ロボットの制御空間上でのファジィ集合データの言語化 2-2)多次元ファジィ制御のGPGPUシステムによる動的安定化の実現 2-3)シミュレーションロボットのモーション制御実験 これらの研究を遂行するため必要な計算機等の購入とソフトウェアの調整開発を行った。 以上の結果についてまとめ、7件の学会発表を行った。そのうち第27回ファジィシステムシンポジウムでのデモ発表がポスターデモセッション優秀賞(約40件から2件)を受賞した。 演算の高速化と精度の追求では、多次元ファジィ集合処理における3つのフェーズにおける効果を比較し、モデリング、データ化、に比べ、最も使用頻度の高いファジィメンバーシップ値の算出での高速化が有効であることを示した。 多次元ファジィ集合の応用ではロボットシステムの行動計画に適用しその有用性を示した。また動的システムの安定化制御にも人の知識を獲得することで適用可能であることを示した。
|