研究概要 |
平成23年度には下記の研究を行った. (i)Simple-FLDAを拡張(非線形拡張)と定性的評価 開発済みのSimple-FLDAに対しカーネル関数を用いた非線形高次元空間への拡張を行った.カーネル関数型オシラインFDA (Fisher Discriminant Analysis)を開発し予備実験で有効性を検証した.これは行列型手法と比較して,学習速度と精度の両方を改善する仕組みである.井線形Simple-FLDAを様々なデータベースに適用した結果,入力次元が比較的に少ないデータよりも入力次元数が比較的に大きいデータに対する精度改善効果が大きいことが判った.今後はさらに別のデータベースやEMG等の実信号を用いた評価を行う予定である. (ii)手首EMGによるジャンケン3動作のデータ計測法の検討と認識の予備実験 従来は手首の動作識別で90%以上の高精度を実現したが,様々な機器制御や応用範囲の拡大(原発対応ロボットなど)のためには指の動作識別が必要かつ重要となる.本研究では,ゲームとしても利用可能なジャンケン3動作(グー,チョキ,パー)の識別を行った.まず,センサの装着位置と計測データの目視での確認を行い,ジャンケン動作の出し方を含めて識別可能な計測方法を検討した.ジャンケン動作では行動を開始する直前までは通常グーの形状を保持しているため,ジャンケンを出す前とグー動作の計測データが類似する可能性があるため,この点を確認し,認識可能性を検討した.認識精度はオフラインの時は80%以上の精度を達成できたが,オンライン識別では,70%程度の識別精度であった.今後,システム構成の確認を行う必要がある. さらに,足首EMGの認識実験を行った.足首のニュートラル,底屈,背屈の3動作の識別を線形版Simple-FLDAにより予備的な認識実験を行い,95%以上の高精度を達成できた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,手首と足首のEMGを用いたオンラインでのジャンケン認識と足首動作識別が必要である.平成25年度には,足首動作に基づいて,単なるインタフェース目的だけではなく,パワーアシスト機器への応用が可能か否かを検討する.このためには,足首EMGに基づいて,座った状態から歩き出すまでの動作識別を連続的に判定する必要があり,その仕組みに関する予備実験と検討を行いたい.社会福祉に役立つ機器開発を念頭に置いて研究開発を進めたい.
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