研究概要 |
本年度は,自律的遺伝演算子に基づく進化型計算の理論を,新しい進化型計算手法を用いて展開した.また,分散性の高い本手法の利点を積極的に生かすために,クラウド環境下での提案手法の適用についても検討した.具体的には以下の項目について明らかにした. 1.柔軟な表現力を有する進化型計算の発展 提案中の,遺伝演算子の組換えや変更が容易な柔軟な表現力を有する進化型計算フレームワークをについて,具体的に検討し,Javaにより進化型計算の遺伝演算子構造を自由に設計可能なアプリケーションのGUI部分を作成し,XML形式による保存を可能とした. 2.タマホコリカビ型遺伝的アルゴリズムの提案 提案手法の応用として,細胞性粘菌類の一種であるタマホコリカビの生活環から着想を得て大域的探索能力と局所的探索能力のバランスを制御することが可能なタマホコリカビ型遺伝的アルゴリズム(DGA)を提案し,GAにおける局所的探索能力の向上および初期収束問題の解決を可能とした. 3.提案システムのクラウド環境への適用 自律型遺伝演算子は,並列化との相性が高い.そこで,3.で提案したDGAをクラウド環境で実行する進化型計算フレームワークを提案した. 4.提案システムの実問題への適用. 提案システムの性能を評価するために,絵に基づく対話型進化によるコミュニケーションシステムを提案した.また,GPによる株式市場における戦略進化についても検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,自律型遺伝演算子の理論を構築し,それを利用したタマホコリカビ型遺伝的アルゴリズムを提案した.この研究は,第21回インテリジェント・システム・シンポジウムにおいてFANベストプレゼンテーション賞を受賞するなど,対外的にも評価をされている.以上の点から,研究の進捗は順調であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
自律型演算子に基づく進化型計算作成アプリケーションを構築し,理論の整備とともに応用面の研究に取り組む予定である.具体的には,タマホコリカビ型遺伝的アルゴリズムの移動演算子を上記アプリケーションで利用可能とし,研究の実問題への応用として,絵情報共有型会話エージェントによる対話的進化,株式取引戦略の進化についても積極的に取り組む.
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