申請者は,本研究おいてに Java で記述した極めて柔軟性が高い自律的遺伝演算子に基づく進化型計算のGAライブラリをフリーなライセンスで提供した.本ライブラリでは,デザインパターンのコマンドパターンを利用することにより,自律的な遺伝演算子の実装を可能としている.具体的な実績としては以下の内容が挙げられる. 1. 柔軟な表現力を有する進化型計算の理論的拡張およびライブラリの作成,2. 自律的な遺伝演算子を持つタマホコリカビ型遺伝的アルゴリズムの提案,3. 提案システムのクラウド環境への適用,4. 対話型進化型計算や,経済問題等の実問題への応用結果に基づく提案システムの評価. 自律的遺伝演算子に関する理論的考察,ライブラリの作成,各種学会における受賞,クラウド環境への適用や実問題への応用など当初の目的とした内容については十分な成果が得られていると考える. また,申請者の大きな目標である,社会の基盤技術として用いることができる進化型計算フレームワークの開発という観点から,新たな機械学習を適応度評価に導入する手法について考案した.これは,本課題の研究応募時には十分な着想がなかった内容であるが 申請者は,自律的遺伝演算子の研究を続ける中で,進化型計算を実問題に応用する場合には適応度評価に関する問題点をどうしても解決する必要があることに気が付き,機械学習と組合せることで驚くほど探索性能が改善することを発見した.この機械学習能力を有する遺伝演算子は,まさに現在実施している自律的遺伝演算子の代表であり,申請者がこれまで続けてきた研究を新しい枠組みで拡張できる発想であることが分かったため, 既に十分な成果を得ることができた現在の課題を一年短縮し,機械学習を導入した適応度景観推定型進化型計算フレームワークの提案に関する課題を申請し,採択されたため引き続き現課題のテーマを拡張した内容で研究を計測する.
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