研究概要 |
近年のコンピュータの並列計算環境の進歩はめざましく,演算装置を複数有するマルチコア計算機に加え,数百の演算装置を内蔵するGPU(Graphics Processing Unit)が安価な計算機で利用出来るようになった.したがってそれらの演算装置を有効に活用し,高速にACO(Ant Colony Optimization)アルゴリズムを実行する研究が重要になっている.初年度に当たる2010年度では,ACOの並列化アルゴリズムの研究の基礎の確立に特に重点を置いて研究を推進した.具体的な実績は以下のとおりである. (1) マルチコア計算機による並列ACOアルゴリズムを開発した. (2) GPUを用いたACOの超多並列実行の効果の研究を行った. マルチコア計算機を用いた並列計算の研究では,並列実行スレッド間の同期方式を工夫することにより,ほぼコア数に比例する高速化を実現する手法を確立した.また,GPUを用いる超多並列の研究では,各スレッドを独立に実行する方式による高速化の効果を解析し,GPUによる高速化の下限値の推定を明らかにした.後者の研究では,ACOにローカルサーチを付加することを行っていないが,ローカルサーチを付加する効果の研究や,複数のコロニー(アリの集団)を複数のGPUを用いて実現する効果の研究などが今後の研究課題である. なお,研究計画に上げたACOと分布推定アルゴリズムの関係に関する研究も推進しているが,研究成果の公表は次年度に行う予定である.
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