確率的情報処理においては、目的に応じた「仮想データ」を生成する技術が重要である。本研究では乱数を用いたアルゴリズムの一種であるマルチカノニカルモンテカルロ法に基いて、さまざまな仮想データ生成の問題に対して適用できる統一的で強力な手法を開発・検証することを目指す。 本年度は昨年度までに得た「マルチカノニカル法の時系列データのサロゲーションへの応用」に関する研究成果を国際会議 BayesComp2012 (2012年6月,東京)の講演中で発表した。また,マルチカノニカル法に関する欧文の総合報告を執筆し,その中で上記の結果についても議論した。この報告は2013年5月に投稿され,現在査読中である。また空間パターンのサロゲーション(または正確検定)への応用などについて予備的な考察を行った。 また,創薬の専門家との共同研究を継続し,化学式のサポートベクトルマシン(SVM)による教師あり分類問題について特徴空間の像の原像(プレイメージ)を求める問題を研究した。化学式の断片の集まりをマルコフ連鎖モンテカルロ法類似の手法によって合成するという提案手法について,国際会議 BayesComp2012と国内会議IBIS2012のポスターセッション,日本統計学会で共同研究者が発表した。
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