情報技術の進展に伴い、今日、専門図書館の役割は大きく変化している。こうした状況下で、専門図書館が機能を発揮するには、専門的職員が必要であり、その養成のためには、専門的職員の職務内容とそれに対応する養成の方法を明らかにする必要がある。 本研究の目的は、専門図書館における情報サービス活動の実情を、質問紙調査と聞き取り調査によって実証的に明らかにし、その結果をもとに、専門図書館職員の養成の基礎を成し、構成要素となる知識・技術を明らかにすることである。 本年度は、次年度に実施する質問紙調査の準備を行った。具体的には、(1)文献調査によって情報サービス活動の内容を詳細に整理した。その際、特に、情報技術の進展が専門図書館における情報サービス活動に、どのような影響を与えているのかといった観点を重視した。(2)文献調査から導出した情報サービスの実情をもとに、専門図書館職員が行っている職務内容を、資料・情報の収集、整理、提供の観点から検討のうえ抽出した。その結果、情報技術を活用した能動的な情報サービス活動に関わる職務内容を含めた質問項目のたたき台を作成できた。(3)このたたき台をもとに、調査を予定している機関種(企業図書館、団体図書館)に勤務する実務家に聞き取り調査を行い、質問項目が実際のサービス活動に即した職務内容となっているか、ならびに職務内容を実施状況とサービス対象者の二つの観点から調査することの妥当性を検証した。聞き取り調査の結果を踏まえて、質問項目などの調整を行った。(4)調整を行った質問紙をもとに、来年度に実施する本調査に備えて先述の機関種に勤務する別の専門図書館職員に予備的調査を実施した。回答者から得られた意見をもとに、質問紙を改善した結果、職務内容の観点から専門図書館におけるサービス活動の実態を把握し得る質問紙を作成できた。(5)『専門情報機関総覧』をもとに調査対象とする機関種と機関の選定を行った。
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