本年度は、本研究の最終年度にあたるため、前年度に実施した質問紙調査と聞き取り調査の結果をもとに分析を行い、その成果を報告書としてまとめた。 まず、質問紙調査については、前年度に実施した集計結果に、新たに「属性」として、機関種別内訳に所在地の視点と、スタッフ数に機関種別の平均値の視点を追加した。さらに、「職務内容の実施状況」として、スタッフ数の規模別の視点を加えた。これまで行った集計をもとに分析した結果、専門図書館で提供されている職務は、図書館の基幹をなす職務で従来型のサービスに関わるものが多いことが明らかとなった。 次に、聞き取り調査については、前年度に実施した調査をもとに分析を行った。分析は各機関で得られた聞き取り調査の内容を文字に起こし、機関ごとに実施する職務内容を精査し、さらに、機関間での比較検討を行った。その結果、職務ごとに実施されている具体的なサービスの内容を抽出できた。 最後に、質問紙調査と聞き取り調査の結果をもとに、本研究の目的の後半部分にあたる「専門図書館職員の養成の構成要素となる知識・技術を明らかにする」ことを行った。その結果、(1)資料・情報の組織化・提供、(2)情報通信技術を活用した発信型の資料・情報サービスの2種類の職務に関わる知識・技術が、専門図書館職員の養成の構成要素となることが明らかとなった。 本研究の成果は、その内容を基盤とし、さらに発展させることによって、今後、専門図書館職員のキャリア形成のための環境整備のあり方を解明することにつながると考えられる。
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