研究概要 |
本研究の目的は,利用に供されている和古書メタデータの分析をもとにメタデータの内容を検討し,識別上必要なメタデータ記録に有用な知識共有システムの構築を進め,検索性と提示性及び有用性を検証することにある。 今年度は,国立情報学研究所ご協力のもと,NACSIS-CATに蓄積された和古書(漢籍も含む)約7万件の分析を進めた。利用者がメタデータをもとに対象資料の同定識別を行う際にキーとなる,タイトルや著者・編者,出版者や出版年,個々の資料の特性を記述する注記項目などに分割して進めているが,今年度は出版年の表示と記録,著者名典拠の実態,分類記号の記録,統一タイトルの記録と著作典拠の実態について,NACSIS-CAT以外の総合目録システムと比較して検証した。検証を進めるにあたって,記録の元となる記述対象資料にあたる必要がある。そのためweb上に公開されているイメージデータとの照合や,複製データの取り寄せての検証も進めた。それらの分析結果については,2010年度の日本図書館情報学会及び西日本図書館学会の各研究大会で発表した。 並行して知識共有システムの構築を行っている。和古書メタデータの構築の上で必須の参考文献として『近世書林版元総覧』がある。抽出したメタデータを元に同書との異同の分析やデータの増補の可能性について検証するために,NACSIS-CATデータから必要項目の抽出を行いデータベース化するための加工を継続して行っている。同データベースでは,名称,時代,所在地をキーに,「総覧」への参照なども含めて利用できるシステムを目指している
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