今年度は次の2点について研究を行った。 ①出版者に関するデータ蓄積のための情報採取を行うと共に検索システムの構築を進めていたが,システム構築やメンテナンス,利用の容易さを考慮し市販ソフト上で再構築した。その上で搭載データ数を増やすことと併行して,一部のレコードに限定してイメージデータの活用(関係機関の了解の元,リンクすることも含めて)も進めた。更に出版者以外のデータの集約と検索項目の確認を行った。出版者に関する既存の資料との突き合わせも更に行うことで,データの信頼性を高めることに努めている。 ②昨年度に引き続き,NACSIS-CAT及び公開された目録データベースから書誌データの分析を行った。殊に利用者が同定識別上必要なデータとして,出版に関する情報と典拠となる名称の記録データの抽出と分析を進めた。特に類似性の高い情報を集めた際の識別上必要な情報の違いとその原因について検証を行い,利用可能なデータは,前記データベースにも取り込み,書誌データの記載とイメージデータのリンクによる有効性の検証も試みた。 日本文化研究への日本古典籍活用を拡大するためには当該資料群の書誌所在情報の蓄積・流通を促進することが重要である。本研究では書誌所在情報の蓄積を支援するための有効なツールとなることを目的としているが,想定する利用者は海外の担当者であるため,海外での日本古典籍資料組織化の状況と対象資料群の確認と担当者との懇談を行った。その際,試作したシステムへの意見を求めた。
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