研究課題/領域番号 |
22500229
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
林 正治 一橋大学, 情報基盤センター, 助教 (90552084)
|
研究分担者 |
堀井 洋 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教 (40372495)
中野 節子 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60019338)
宮下 和幸 金沢大学, 人間社会環境研究科, 客員研究員 (40535663)
|
キーワード | 歴史情報 / 情報システム / データベース / 日本史 |
研究概要 |
本研究では歴史学の研究過程において生成される断片的な歴史情報(以下、「非定型歴史情報」)の共有と資料目録などに代表される歴史情報との統合を実現する。平成23年度は金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵の「先祖由緒并一類附帳」(以下「由緒帳」)の研究課程で生成された非定形歴史情報と「加越能文庫解説目録 上巻」に集録された由緒帳の解説目録(11,763件)を統合したデータベースを構築した(以下「由緒帳DB」)。また、非定形歴史情報の関連付けを支援する付箋システムを開発し、由緒帳DBへの組み込みを実施した。これらの仕組みにはLinked dataの概念が組み込まれており、URLとRDF(Resource Description Framework)によるデータ利用が可能である。共有化された非定型歴史情報の可視化手法の検討も始めている。これまでに、研究過程で生じた暗黙知を、由緒帳DBを可視化することである程度表現可能であることが判明した。一方、システム開発と同時に非定形歴史情報の共有がもたらす効果の検討も始めた。具体的には、非定形歴史情報の作成者とは異なる歴史学者が、共有化された非定形歴史情報を利用することで、何が起きるかを観察することである。歴史学上の新たな知見が非定型歴史情報の共有からもたらされることが一番ではあるが、研究過程の産物であり可能性は低い。それよりも、異なる研究者同士の知識共有から生まれる課題設定や相互補完的な研究が行われることを期待している。また、より積極的に非定型歴史情報の共有化を図るために、歴史学者の研究コミュニティ、加賀藩研究ネットワーク(http://amane-project.jp/karen2/)でのシステム公開を始めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先祖由緒并一類附帳を解読する過程で生じた非定型歴史情報の収集とシステム公開のため調整に時間を要したが、加賀藩研究ネットワークのホームページでのシステム公開が始まり、共同研究者以外の歴史学者からのフィードバックが得られる環境が整った。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は非定型歴史情報の共有と統合のためのシステムの評価を中心に研究を進める。歴史学研究会での研究発表とシステムについての説明会を予定している。これらの場を通して歴史学者コミュニティとの交流を深め、共同研究者以外の歴史学者からフィードバックを得ることが研究を進める上で重要と考えている。
|