研究概要 |
H23年度に開発した要素として以下の3つがある:(1)解法プランXMLパーサー,(2)解法プラングラフ描画ツール,(3)TeXソースの画像化ツール.これらを統合して,解法プラングラフ(問題解法の演繹推論過程を表す有向グラフ,ノードは公式)のジェネレータを開発した.入力はXMLスクリプトで,出力は解法プラングラフのイメージである.グラフのレイアウト機能は,フリーソフトのgraphvizを用いて実装した.これを用いて,債券数学の文章題の解法プラングラフを作成し,それを実際の講義(学習院大の「マルチメディアと数学1」,「経営数学1・2」など)で利用した.債券数学の分野の公式のE-Rダイヤグラムとして,意味モデルを昨年度,作成した.H24年度は,それを大判のポスターサイズに印刷して教室で用いながら講義を行った.インドネシアでも,この意味モデルを用いて債券数学について講義(KCIC2012招待講演)を行った.H23年11月,全国の高校教師他を対象として,フリーの経済数学グラフィクス教材webサイトgraphics10を公開したが,H24年度はPart2のwebも公開した.内容は,国民所得決定問題,マーシャルの需要関数(制約付き最適化問題)などを3次元アニメーションなどにより分かりやすく解説するweb教材ページである.夏には,これを用いて高校数学教員を対象に学習院大学オープン・キャンパスおよび数学教育実践研究会全国大会において,金融数学の講義を行った.また,震災後のボランティア活動として,岩手の中学生を対象に金融数学の講演も3月に行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画は,以下の2つの課題の達成であった.(1)推論エンジン法に基づいた,数学と経済の2種類の知識ベースの構築,および,(2)ルール(公式,セオリー)の表示におけるグラフィクスによる視覚化.債券数学において,知識ベースの構築は完了.問題を解決するための演繹推論過程を,ルールをノードとする有向グラフで表すというシステム「解法プラングラフ・ジェネレータ」も構築した.これよって多くのWEB教材を作成し,実際の講義に用いて効果をあげている.
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今後の研究の推進方策 |
講義で解法プラングラフを用いて,学生にそれによる学習効果のアンケートを実施する. また,解法プラングラフ(演繹推論過程の有向グラフ)を生成するジェネレータへの入力はXMLスクリプトである.このXMLスクリプト作成を,画面上で対話的に行えるシステムweb:VisualEconoMathを構築する予定である. これにより,XMLスクリプト記述が容易に行えることが期待される.また,解法プラングラフを見ても理解できない学生のために,部分的な推論過程を抽出して,それに関する問いかけをする機能を実現したい.
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