研究課題/領域番号 |
22500234
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
吉開 範章 日本大学, 理工学部, 教授 (30398846)
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キーワード | 信頼 / 評判システム / 情報セキュリティ / 社会的ネットワーク / グラフ理論 / 説得心理学 / 多変量解析 / エージェント |
研究概要 |
インターネット上のネット・コミュニティを対象にした情報化社会において、人々がネットワークから正確な情報を得るためには、情報セキュリティの研究と共に、システムを扱うヒトの「信頼」の両面を、同時に確保する必要がある。前年度に引き続き、前者については、社会問題となっているDDoS攻撃を対象にした検討を、また後者については、ネットワーク・コミュニティにおけるメンバー間の相互信頼を評価する方法について考察した。 情報セキュリティに関する研究としては、従来のIT分野からの視点に加えて、説得心理学も考慮し、しかもアンケートと共に実験まで実施して、ウイルス感染時の人の心理と行動に関する基礎データを収集・分析した。その結果、ウイルス感染実験を受けることにより、感染経験のない人が、感染に対する危機意識を持ち、対策行動へのインセンティブが挙がこと、及びウイルス感染を認知した場合の反応は、パニックになる素人型と、落ち着いて熟慮後、行動する専門家型に分類されること等が明らかになった。それらの結果に関しては、本論文2件、国内学会5件で発表し、国際会議に投稿中である。次年度は、これらのデータの精緻と共に、ウイルス感染を防ぐ具体的な対策について検討を進める予定である。 ネットワーク・コミュニティに関しては、実際の大学内組織に収集されたメールデータも元に、組織活動のパワー中心性評価法を提案し、その有効性を検証した。論文1件、学会発表1件を行った。今後は、評判システムと、今回の分析方法を統合して、評判値に基づく組織活動の変化に関する考察を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、評判システムそのものの研究に集中する計画であったが、評価すべきサービス(情報セキュリティ、および組織内活動モデル)への研究を先に実施することが、社会的な要請から重要と判断し、本期間は優先させた。 そのため、当初予定よりも、評判システム自体の研究の進捗が、やや遅れ気味になってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
評判システムで評価するサービスのデータ収集法や評価法については、ほぼ具体化できたため、今後は、当初の計画通り、主としてエージェントを使った評判システムの性能評価の研究をシミュレーションにより推進可能と思っている。
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