研究課題
平安中期成立とされる類題和歌集『古今和歌六帖』の伝本について、南里一郎氏(立命館大学・非常勤講師)の協力を得て、新たに二本(神宮文庫蔵林崎文庫旧蔵本、および同宮崎文庫旧蔵本)の電子テキストを作成した。また黒田彰子氏(愛知文教大学・教授)の研究グループから、島原松平文庫本および大久保正氏蔵榊原文庫旧蔵本の電子テキストの提供を受けた。黒田氏グループが作成した電子テキストを本研究グループでも使用するには、大幅なフォーマット変更が必要となるが、その点については、深川大路氏(同志社大学・文化情報学部・助教)の協力を得て、計算機プログラムによる自動変換をおこない、手作業を最小限度にとどめる方針である。新たに作成した伝本には、これまで見られなかったような書き入れや、電子テキスト作成における問題点が存在した。そこで、これらの箇所に対応するタグ付け規則を考案し、竹田正幸氏(九州大学大学院・システム情報科学研究院・教授)との共同研究において、底本を自由に変更できるデジタル校本システムを作成した。このシステムは、本文異同を句ごとに表示し、これにより諸本を分類する機能を備えている。これを用いて本文を分析し、『古今和歌六帖』の写本系本文と版本系本文との異同とその性格について学会発表をおこない、また、研究ノートその他の成果を発表した。また、散文用の校本作成支援ツールについては、坂田桂一氏(同志社大学大学院・法学研究科博士前期課程2年)の協力を得てツールの根幹部分の作成は完了し、『源氏物語』若紫巻他を対象に校本を作成中である。ただし、巻によってはかなりの手直しを必要としたため、『源氏物語』よりも本文異同が少ないと思われる『石清水物語』の校本作成を志していた宮崎裕子氏(九州大学・専門研究員)に本ツールを試用するよう依頼した。この結果は、来年度以降報告される予定である。
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文化情報学
巻: Vol.6, No.1 ページ: 124(一)-112(一三)
巻: Vol.6, No.1 ページ: 101(二四)-84(四一)