研究課題
『古今和歌六帖』(平安中期成立とされる類題和歌集)と『源氏物語』を主たる研究対象とし、平安朝文学の伝本と表現に関する考察をおこなった。『古今和歌六帖』については、竹田正幸氏・南里一郎氏との共同研究により、和歌用デジタル校本システムを開発しているが、今年度はさらに、主要伝本10本の本文や書き入れを対象とした、電子テキストのタグ付け規則の改良を行った。伝本の墨付きの現状を、より論理的に表記する方法を案出し、デジタル処理が可能な段階に至った。これを用いて、出典未詳歌の注釈を継続しておこない、また、伝本研究の一端を研究論文として発表した。ただし、作成したデータとツールを用いた研究は端緒に就いたばかりであり、今後さらに、データの修正やツールの改良、そして、それを用いた伝本と表現の研究を進めていく必要がある。また、『源氏物語』については、坂田桂一氏作成の散文用校本作成支援ツールを用いて、『CD-ROM 角川古典大観 源氏物語』に収録されている大島本・陽明文庫本・保坂本・尾州家河内本の翻字テキストを対象に、データ処理をほぼ完了した。これら4本については、『源氏物語』の巻ごとに、表記や語句の本文異同を詳細に把握することができる。また、特に別本を有する巻については、影印から翻字して電子テキストを作成し、校本データとして加えたものもある。このツールは、現時点でも20本の伝本を処理することができるため、今後も伝本を追加しながら校本を作成していくことが可能である。また、深川大路氏によるエクセルのマクロを用いた異文箇所の数値化、および矢野環氏の提案による SplitsTree による本文系統の視覚化といった、本文異同を把握する一連の手法を確立した。なお、『順百首全釈』(筑紫平安文学会著、風間書房、2013年5月刊行予定)には、文字列解析ツールe-CSA(竹田氏作成)を用いた解説を収めている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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同志社国文学
巻: 第78号 ページ: 16-27
文化情報学
巻: 8-2 ページ: 70-54
順百首全釈
巻: 歌合・定数歌全釈叢書18 ページ: 289-297
巻: 歌合・定数歌全釈叢書18 ページ: 229-248
巻: Vol.8, No.1 ページ: 一(52)―一〇(43)
女子大國文
巻: 151 ページ: 40-76