昨年に引き続き、「離島地域における住民参加を促す地域情報化のあり方」、並びに「情報化推進による地域活性化モデルの開発・検証」を目的として、壱岐市、並びに五島市を中心に調査研究を実施してきた。 壱岐市では、壱岐市役所、並びに地元CATV事業者と連携して、情報化フェアや情報化シンポジウムなどを開催し、地域住民への情報化意識の啓発や情報化人材の発掘を実践するとともに、商工会や若手活動グループとのタウンミーティングを実施して住民参加を促す地域情報化のあり方について意見交換を交えながらそのあり方について調査研究を進めてきた。また、別途調査研究を実施している九州圏内の中山間地域における住民参加型地域情報化の実証的研究との比較検証を行いながら、他地域での成功手法の離島地域への適切な組み入れ方など、今後のあり方について検証を重ねてきた。 一方、五島市では現代的課題になっている「限界集落」に焦点をあてた情報化推進の在り方について、半泊地区をフィールドとして、当該地区での活性化事業に情報発信機能がどのような役割を担っていけるのか、実際に当該地区が実施する活性化事業に参加し、地域住民と協働の立場を取りながら実証的観点から調査研究を行ってきた。 以上の結果、離島住民の情報化スキルは比較的低いものの、地域への関心度は高いものがあり、住民参加を促す様々な意識啓発活動などを通じた「気づき」の場面を適切に提供することにより、住民参加による地域情報化の実現性は極めて高い可能性を秘めていることがわかった。そのためには、「よそ者」と言われる外部人材の必要に応じた活用や、住民主導に導く組織体制のあり方を行政と連携しながら形成していくことの重要性を導きだすことができた。また五島市においては、限界集落という特殊地域においての活性化事業に、情報化が大きな効果を発揮できる可能性を秘めていることを見出すことができた。
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