研究課題
本研究は,日常のコミュニケーション場面で多用される比喩,アイロニー,ジョーク,間接発話行為といった発話意図の理解に推論を要する表現が,我々の脳内でどのように処理されるのかについて,そのメカニズムを多角的に検討し解明することを目的とした.特に本年度は前年度までに行ったfMRI実験の結果を踏まえ,アイロニー,ジョーク,間接発話行為などの発話理解といった認知処理に関与する神経基盤と,それによって喚起される情動処理に関与する神経基盤の関係について検討した.その結果,発話意図の理解には下前頭回(IFG),内側前頭回(MPFC),上側頭回(STG),中側頭回(MTG)などの前頭・側頭領域において,矛盾した発話から意味の逸脱の検出及び照合,意図の推論といった高次の認知処理が行われていることが示された.またアイロニーなどのネガティブな感情を喚起する発話ではAmygdalaやInsulaなどが関与していること,さらにジョーク理解によって喚起される快感情の処理には,報酬系といわれる中脳辺縁系が関与していることが明らかになった.さらにfMRIデータの賦活領域間の関係を Functional connectivity analysis (Psychophysiological interactions analysis) によって解析した結果,IFG やMTGなどの前頭・側頭の認知処理領域と,中脳辺縁系などの感情処理領域の活動が強く相関していることが示された.またこれらの結果を基に各賦活部位間のネットワークモデルを提案した.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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