本研究では、認知言語学のメタファー理論を現実世界の問題へと応用する試みのひとつとして、バイオテクノロジー関連(特に国内外における遺伝子組換え作物・食品の生産や流通、コミュニケーション戦略に関する領域)の言語・画像表現を収集してその構造分析を行い、それらの伝達効果を認知的視点から解析した。また言語的メタファー表現のもつ思考や推論への影響を実験的に検証し、フレーム知識に基づく推論と、価値判断や良し悪しの評価にかかわる態度とでは、メタファーの影響力に違いがあると考えられる結果を得た。学会・論文発表のほか、これらの成果を社会・経済面に応用する方法を検討するため、シンポジウムを開催して成果を公表し、言語学者・工学研究者・農林水産行政関係者との討議を行った。
|