研究課題/領域番号 |
22500241
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
井須 尚紀 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50221073)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 感性情報学 / 生物・生体工学 / 人間生活環境 / 認知科学 / 情報工学 |
研究概要 |
本研究では、航海中の映画視聴を通して船酔いを軽減する方法の開発を行うことを目的としている。映画と同時に船舶の揺れに合わせた視運動刺激を与えることで、船酔いの原因である視覚-平衡感覚間の感覚情報競合を抑制し、船酔いの軽減を図る。船酔いを低減する映画上映法を考案し、その有効性を検証する。本年度は、昨年度の航海実験の結果に基づいて映画上映法に改善を加えて3D表示とし,以下の3項目を船舶運動のピッチおよびロール回転と逆方向に回転させる/回転させないの組合わせからなる8種類の映画上映法を検討した。 (a) 映画表示部の周辺に付加した背景映像 (b) 映画表示部(映画が映写される矩形領域) (c) 映画表示部に映写される映画映像 さらに、背景映像を平面、円筒面、モノクロ(ブラック)の3種類、映像表示部と背景映像の3D表示位置を各々スクリーン近傍と無限遠とする組合せ4種類を上記上映法8種類と組合わせて、不快感、映画の見やすさ、揺れの感覚強度を検討した。 また、刺激―感覚の心理学的測定の再現性を確保するために船内シアター・シミュレータを構築し、昨年度に引き続いてその改修を行った。昨年度に、僅かな頭部位置の変化が仮想環境での映画上映面の位置変化をもたらし、被験者に違和感を与えることが判明した。そこで、本年度は被験者の頭部運動を測定し、頭部の位置や方位角・傾斜角が変化しても適正に3D映像が与えられるように、船内シアター・シミュレータの改良を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
映画上映法の改善については、昨年度の航海実験の結果に基づく8種類の動き、3種類の背景映像、4種類の3D表示位置の組合せを試作して効果を検討した。また、船内シアター・シミュレータの改良については、被験者の頭部の位置や方位角・傾斜角が変化しても適正に3D映像が与えられるように改善を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、考案した映画上映法の効果を航海実験で検討する。洋上での映画視聴による不快感、映画の見やすさ、揺れの感覚強度とともに船体運動を測定し、船舶の揺れに応じた上映法を比較検討する。また、被験者の頭部位置の測定精度を高め、よりリアルな感覚を与えるように船内シアター・シミュレータの改良を進めて、洋上映画上映法の実験室実験を実施する。
|