研究概要 |
年度途中の追加採択であったのに加え,研究分担者として予定していた者が都合により分担を外れることになったため,今年度は,当初の計画の遂行順序を変えるとともに,次年度の本格調査に向けた準備作業に当てることとした。具体的には,1)実験システムの構築と2)熟達した心理士が用いる方略の調査へ向けた準備,の2点を目標として挙げた。 このうち,1については,実際の実験に使用するノートパソコン2台を購入し,実験システムの構築に着手した。今年度も引き続きこの作業を行い,年度前半での完成を目指す。 また2については,実務経験の豊富な心理士から実際に話を伺う機会を得て,示唆に富んだ貴重な意見をいただいた。この方は大学院博士課程で認知心理学を専攻する立場にもあり,大変有用なご意見をいただけたと思っている。特に,聴覚刺激を提示しつつの発話思考法は実験参加者にとっては困難な課題となるのではないか,という指摘は,実験計画を再検討を迫るものであった。この点に関しては,予備的な実験を行って早急に方向性を確定したい。 また,何度かの打ち合わせで,発話思考法に用いる刺激に俳優ではなく実際のクライアントを用いるのはどうだろうかというアイデアが出された。人為的な演出の影響を最小限にとどめることができるという点で,検討に値するアイデアではあるが,一方で条件統制が難しくなることが予想される。ただ,刺激内容の妥当性を担保する上でそのような方々にご意見を伺うことは出来るのではないかと思われる。今後は,倫理面を慎重に勘案したうえで,その可否を決めてゆきたい。
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