研究課題/領域番号 |
22500252
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
原 尚幸 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40312988)
|
キーワード | マルコフ基底 / グラフィカルモデル / 分割表 |
研究概要 |
1.離散指数型分布族の階層モデルを一般化し、より柔軟な交互作用の構造を取り入れた階層部分空間モデルを提案した。またこのモデルの分解と推論の局所化について議論を行い、通常の階層モデルのもつ条件付き独立関係を表すグラフに基づくモデルの分解を一般化し、実用的な局所化アルゴリズムを提案した。 2.離散状態空間を有する斉次マルコフ連鎖モデルのマルコフ基底を導出して、実用的な斉次性の検定のための正確検定アルゴリズムの提案をおこなった。また実データ解析を通して、提案手法の有用性を確認した。 3.近年はリスクの概念が多様化し、天候の変動なども経済的なリスクとしてとらえる企業が増えている。そこで、気温変動リスクの定量化手法を、気温の時系列モデルを用いて提案した。また東京電力・東京ガス間で2001年に行われた気温スワップが、実質的には東京ガスに不利であり、またスワップを用いても両社ともにリスクのヘッジが困難となることを実証した。 4.これまでの本課題の研究成果を英文研究書、Markov bases in algebraic statisticsにまとめた。これは本年7月にSpingerより刊行予定である。 5.さらにこれの日本語版である共立出版「代数的統計モデル」の刊行も決まり、本年執筆を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、研究協力者との連携の中で研究成果も出ており、また研究論文、成果発表に加え、2冊の研究書の出版を予定している。ただ、長期的な視点から、当初の予定外ではあるが、世界的な潮流である高次元統計学との関連についての研究も開始させている
|
今後の研究の推進方策 |
今後は出版予定の2冊の書籍の執筆、来年のInternational Statistical Instituteでの成果報告をメインに、予定通りにマルコフ基底理論、グラフィカルモデルの推測アルゴリズムの研究を進める予定である。今後は、長期的な視点から、近年世界的に研究が進んでいる高次元統計学の理論研究も、本課題の範囲内で取り入れて、遺伝子データ、社会ネットワークデータなどの解析への応用も目指していく予定である。'
|