研究概要 |
魚類・鯨類などの水産資源を持続的利用にするためには,適切な漁獲許容量を設定し管理する必要がある.管理対象種の増加率は餌生物の利用可能性に大きく依存し,また死亡率は漁獲だけでなく被食の影響を受ける.さらに,その種の枯渇は生態系全体へダメージを与える可能性があり,その種をとりまく生態系自体が脆弱になる危険もある.そこで本研究では,生態系へのインパクトを考慮した水産資源管理法を発展させるために,生態系モデリング,生態系構造の推測,そして生態系の保全を考慮した管理方法とそのリスク評価について,統計学的なアプローチから研究することを目的とする. 1、鯨類を題材とした生態系モデリングの更なる検討(最小現実生態系モデルの構築) 生態系モデリングの基礎モデルである複数個体群モデルについて,エネルギー効率のパラメータに対して個体群間のランダム効果を取り入れた階層モデルを構築た.更に,自動微分とラプラス近似を実装した最適化プログラムADMB-REを用いてプログラミングを行い,パラメータの推測方法および計算アルゴリズムの改良を行った. 2、鯨類を対象とした包括的生態系モデルの構築 本研究において包括的生態系モデルはシミュレーションによる資源管理ストラテジーの評価に用いられるが,南極海の生態系を対象に,そのインプットデータの整理および改良した.また,モデルの同定およびパラメータの推定において不確実性を適切に扱う為に,Sampling Importance Resamplingを利用したベイズ型モデルの実装を行った.
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今後の研究の推進方策 |
今後,研究概要に記載した項目Iで構成したモデルを資源評価モデル,項目IIで構成したモデルを仮想現実モデルとし,資源管理法の評価,すなわちManagement Strategy Evaulation (MSE)のフレームワークを作成する.
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