研究課題
脳磁図におけるこれまでの研究では加算平均波形から得られる動的情報を解析してきたが、この確定信号のまわりのゆらぎにも動的情報が含まれているはずである。このゆらぎの動的情報を脳内活動部位間のインパルス応答の形で取得することが脳内通信である。そこで、正中神経の繰り返し刺激の脳磁図データをブラインド源分離の使用後、逆問題推定により得られた脳内活動部位の電流源データを2成分フィードバック系で同定すれば、同定モデルに含まれる伝達関数は同定部位間のインパルス応答を意味した。今後、その生理学的な解明が待たれている。解析する脳磁図データとしてはこれまでに蓄積した体性感覚誘発磁場データと聴覚誘発磁場データがあり、その2成分系としての取り扱いを当初の2年間でほぼ終了した。昨年度には、これを一歩進めて、体性感覚の活動部位は左右半球脳の第1、2次体性感覚野の4箇所程の活動があると分かっているので、多成分系のフィードバックモデルを用いた解析を行なった。本年度は本フィードバックシステム論的手法を脳波・脳磁図データに適用した場合に統計的観点から解決しなければならない観点を明らかにした。つまり、新しい活動部位の探索と伝達関数のロバスト性の確認を行った。ところで、以上の脳磁図データは64chのモデル同定であった。近年306chの脳磁図データが主流となってきている。また、MRIにおける脳科学の進歩は著しく、脳内活動部位はMRI画像上で表示されている。そこで、最終年の本年度では九州大学で取得した306chの脳磁図データについて、MRI情報も取り入れた解析を行なって、脳内通信の検出法を仕上げる一歩を踏み出した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本生体磁気学会誌
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