研究課題/領域番号 |
22500257
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
手良向 聡 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20359798)
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キーワード | 医薬生物 / 統計解析 / 臨床試験 / ベイズ統計学 |
研究概要 |
近年、ベイズ統計学(Bayesian Statistics)は、医学・薬学分野における実験・臨床試験のデータ解析に頻繁に用いられている。しかしながら通常、実験・臨床試験の計画は頻度論(いわゆるフィッシャー・ネイマン・ピアソン理論)の統計学に基づいて行われており、計画から解析・解釈までをベイズ統計学に基づいて行うという試みはほとんどなされていない。本研究の目的は、ベイズ統計学の最大の利点である一貫した論理に基づいて臨床試験の計画から意思決定までを実施する医療技術評価の新規方法論を開発することである。本研究の最終目標は、臨床科学に最先端の統計科学・科学哲学の思想を導入することである。本研究では、臨床試験の新しい方法論を確立し、臨床的意思決定におけるベイズ流アプローチの有用性を探ることが主となるが、その方法論は現在の頻度論アプローチ中心の臨床試験の方法論を大きく変える可能性を秘めている。本年度の主な成果は以下のとおりである。 1.ベイズ流デザインに関する研究:2項エンドポイント単群臨床試験について、デザインから解析まで一貫したベイズ統計学に基づく標本サイズ決定(解析事前分布とデザイン事前分布の導入)、中間モニタリングと標本サイズ選択(予測確率の利用)を考案し、その動作特性を数値的シミュレーションにより調べた。 2.新規デザイン(上記)の標本サイズ決定に関する汎用的プログラム(Rライブラリ)の開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度には、FDA(米国保健福祉省食品医薬品局)発行のガイダンス「医療機器の臨床試験におけるBayes流統計学の利用に関するガイダンス」の日本語訳および出版を行い、平成23年度には、研究協力者と共同で新規のベイズ流臨床試験デザインの考案、国際学会での発表、論文作成(現在、投稿中)を行った。また、提案するデザインを普及させるためのプログラム開発にも着手しており、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは投稿中の論文の公表を目標とし、その後、提案するデザインを普及させるためのプログラム(Rライブラリ)の完成、公開を目指す。また、提案する新規デザインを実際の臨床試験に適用する。
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