GARCHモデルの誤差項に有理関数確率分布を当てはめたモデルを考え、このモデルをベイズ推定するためのマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を開発した。MCMC法を実行する方法は様々なものが考えられるが、これまでに有効であると知られているスチューデントt分布をMetropolis-Hastings法の確率分布に利用する方法を用いた。この方法では、スチューデントt分布のパラメータを決める必要があるが、その方法として、予めMetropolis法で実行して事後確率分布を見積もり、その分布にあうスチューデントt分布を用いた。そしてMetropolis-Hastings法を実行しながら、更に正確な事後分布を求め、スチューデントt分布のパラメータを事後分布に合うように変更する方法をとった。この方法によって、GARCHモデルの誤差項に有理関数確率分布を当てはめたモデルでも効率よくベイズ推定を実行できることが判明した。 また、GARCHモデルに実現ボラティリティを説明変数として加えたモデルの開発のため、実現ボラティリティを測定する方法を開発した。測定にはマイクロストラクチャーノイズやトレーディングのない昼休みと夜間の影響を取り除く工夫を導入した。そして、日本市場の株価に対して実現ボラティリティを測定した。測定によって得られた実現ボラティリティから分布を求め、ガンマ分布、逆ガンマ分布、log-normal分布でフィティングを行うことによって、実現ボラティリティ分布が逆ガンマ分布で良く表されることがわかった。
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