研究課題/領域番号 |
22500270
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
田野倉 葉子 統計数理研究所, リスク解析戦略研究センター, 特任研究員 (60425832)
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研究分担者 |
佐藤 整尚 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (60280525)
北川 源四郎 統計数理研究所, 所長 (20000218)
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キーワード | インフレ率 / 金融危機 / 時系列モデリング / 時変分散 / 信用リスク / パワー寄与率 / Box-Cox変換 |
研究概要 |
研究の初年度である今年度は、研究の基礎を固めるために世界各国の金融市場および経済環境の把握に努めた。先進国、新興国、中南米などの経済統計や金融市場価格などさまざまな時系列データを収集した。特に加工データについてはその定義などが研究に妥当かどうかを確認しながらデータベースを整備した。また、インフレ率の理論的研究や実証研究を参考に現状の問題点を検討した。 2008年秋のリーマンショックに端を発した世界的金融危機では、インフレ率をはじめとする主要各国の経済統計や企業業績が従来の景気循環にないスケールとスピードで急激に悪化し、同時に商品相場の急落などあらゆる金融市場が一気に混乱に陥ったことは、金融システムのグローバル化や情報伝達の高速化などの技術の発展に伴って世界各国の経済環境や経済構造が互いに影響を及ぼし合うようになってきていることを示している。今年度は本研究の予備的な研究として、世界的金融危機前後のこれらの現象のメカニズムに焦点を当て、最近注目を浴びている信用リスクを中心にさまざまな危機の影響について分析を行った。すなわち、本研究の研究体制において進行中の共同研究で開発した、Box-Cox変換と時変分散モデルを利用したトレンドモデルに基づくCDSインデックスとパワー寄与率を適用することで、最近の欧州信用不安の欧州内外への波及効果を検出し、信用不安が長期化するならば他地域に飛び火しかねないことを示した。 さらに、最近の先進国の超金融緩和の一方で、新興国諸国の経済成長によるインフレ懸念や資産バブル、エネルギー資源の価格上昇のインフレ率に対する影響が増大してきており、インフレ率の国際的な連動性が高まっていることがわかった。これらの検証結果を基に、インフレ率の変動メカニズムのモデル化を検討した。
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